市政の動き−議会・政策・見解
【22.09.28】9月議会 日本共産党の討論
井深正美市議が討論しました。
請願2件は、採択を求め、賛成討論を。
第82号、第85号、第92号、及び、第100号議案は、反対、不認定の立場で討論を行います。
●第82号議案 令和4年度 岐阜市一般会計 補正予算です。
高島屋南地区公共施設整備、柳ヶ瀬子育て支援施設整備に関わって、資材の価格高騰に対処するために、インフレスライド条項を適用するとのことです。
建設会社の事情を考えれば致し方がないとも思いますが、そもそもこの場所で、税の投入によって、保留床を取得し、健康増進施設、子ども子育て施設を整備することについて、疑問がぬぐい切れないこと。
物価高騰で市民の暮らしの大変さを考えるのならば、新たに4千万円を超える補正措置ではなく、仕様書の変更等によって、身の丈に合った整備に見直しを図ることも選択肢として考えるべきです。
●第85号議案 岐阜市情報通信技術を活用した行政の推進に関する条令制定です。
行政サービスついて、書面による申請から、オンラインの申請を推進するための条例制定とです。
「窓口に出向かなくても、申請は可能になる」ことは、サービスの向上につながることから否定しません。
が、
オンライン申請が可能となるサービスにおいて、本人確認、署名が必要になるケースでは、場合によっては、マイナンバーの提示を求めることもあり得るとのことから「情報処理組織」からの情報漏洩も、ぬぐい切れないことから賛成できません。
その上で、通信技術の向上されるなかにおいて、書面による申請等についても、行政サービスの一環として、最後まで切り捨てることがあってはならないことを申し述べておきます。
●第92号議案 令和3年度 岐阜市一般会計、特別会計歳入歳出決算認定です。
最初に、一般会計です。議会費の政務活動費ですが、令和3年度の執行率が56,令和2年度58,25%よりも、さらに下回ることになりました。
行政機関においては、単年度収支を原則としていることを考えるならば、適正予算、適正決算は当然であり、不用額が当たり前というような状況は是正されるべきであります。
行政管理費における、
●システム開発管理については、マイナンバーカードに関するシステムの保守、管理などの費用です。
国からの指示とはいえ、個人情報の集中によって、情報漏洩の疑念は尽きません。
戸籍住民基本台帳費における、
総合住民記録システムのうち ●社会保障・税番号制度対応、●住民票写しコンビニ交付、●デジタル手続法等対応システム改修。
戸籍情報システムのうち、●戸籍謄抄本コンビニ交付についても、マイナンバーの普及の関連です。
政府は、令和4年度中に、全国民にマイナンバーカードを普及させるとして、テレビなどを利用した宣伝、カードの新規取得者、健康保険証の利用登録、公金受取口座の登録にマイナポイント付与、職員へのカード取得の呼びかけ依頼など、あの手この手を使って普及を図っています。
そもそも多くの国民がマイナンバーカードの必要性を感じていないなか、個人情報漏洩いても、47,4%に、とどまっています。
マイナンバーの普及による利便性ばかりが強調されていますが、国民一人一人に生涯変わらない12桁の番号を付けることで、個人情報だけでなく、税や社会保障など紐づけが拡大されればされるほど、プライバシーの侵害や情報漏洩の危険性がさらに増すことになります。
デジタル改革の推進によって、本人の同意なく行政から第三者に個人情報が提供されるばかりか、「デジタル化」を口実にした窓口の減少、対面サービスの後退、減免や免除などの地方自治体独自の施策の削減、さらには自治体職員の削減も懸念されます。
商工業振興費における、
各種振興のうち、●キャッシュレス決済を活用した地域経済活性化事業です。
恩恵を受けたのは、キャッシュレス決済を登録した店舗と、キャッシュレス決済の利用者に限られ。
個人事業者からは、手数料の負担や、売り上げの一括入金ということで、キャッシュレス決済に踏み切れないこと。
スマホ利用者からも、機種変更の煩わしさや維持費の負担の大きさから利用をためらう方が依然多く見えます。
物価高騰で困窮世帯が増えるなか、事業の見直しをした上で、全ての市民と店舗、事業者が利用できる方策に改めるべきです。
子ども支援費、及び、健康増進対策費に係る「高島屋南地区公共施設整備」における柳ヶ瀬子育て支援施設、健康増進施設です。
委員会で、子ども未来部から子育て支援施設は、利用料こども無料、大人ひとり500円、年間の利用者7万1千人という説明がありましたが、近隣にはドリームシアター岐阜や、ぎふメディアコスモスなどがあるなか、果たして郊外に住む子育て世代などが利用してくれるのか、疑問が尽きないこと。
また、健康部に関わって、中保健センターの移設は良いとしても、健康増進施設は、民間のフィットネスクラブが郊外を含め数多くあるなか、わざわざ郊外からの利用があるとはとても思えませんし、利用がグラッスル35の住民などに限られることになれば、岐阜市が公共施設として整備をすることが、妥当だったのか、問われることになります。
、特別会計です。
「令和3年度 岐阜市国民健康保険事業 特別会計歳入歳出決算」です。
高すぎる保険料によって、7世帯1世帯の滞納世帯、資格証明者や短期保険証の交付、滞納処分として預金の差し押さえなどは、市民の命と健康を守る社会保障制度として相容れないものであることから中止を求めると共に、払える保険料に引き下げをすべきです。
「令和3年度 岐阜市介護保険事業 特別会計歳入歳出決算」です。
「介護を家族の手から社会の手に」ということで介護保険制度が2000年にスタートして22年目となるなか、保険料は当初の2倍以上となり、負担は限界です。
介護サービスは、特別養護老人ホームの入所が要介護3以上となるなど、制度の改悪によって「保険あって介護なし」の状況が拡大しています。
保健料の滞納によって、サービス利用料の償還払いや、本来1割負担が、3割負担になるペナルティーが課されるなど、高齢者のよりどころとは言えない状況となっています。
保険料の引き下げや、介護サービスの拡充など、高齢者が安心して暮らせる介護保険制度にすべきです。
「令和3年度 岐阜市後期高齢者医療保険事業 特別会計歳入歳出決算」です。
保険料の2年ごとの値上げによって、年金が年間18万円未満を対象とした普通徴収の滞納者は、令和3年度、841人に上っています。
令和4年度は、年金が減らされるなか、保険料の値上げがされました。
新型コロナ感染拡大、消費者物価高騰で、高齢者の暮らしが大変ななか、10月からは年収が200万円以上の高齢者は、医療機関の窓口負担が1割から2割の2倍となり、後期高齢者の約2割がその対象となります。
岐阜新聞が、「2割負担によって『受診控えを招く』との懸念も出ている」としているように、すでに岐阜市の窓口には、1,300件を超える電話による問い合わせが寄せられています。
誰もが年を取れば、医者の厄介になることは当たり前」であることを考えれば、保険料の引き下げはもとより、高齢者いじめの制度改悪は中止すべきと申し上げたい。
教育委員会所管、「保健体育費 学校給食における学校給食の調理業務委託」です。
共同調理場において、岐阜中央中学校、及び、長良小学校において、ボイラーの騒音や調理の臭気などについて、近隣住民の生活に不安を与えています。
規模拡大がされた共同調理場が、学校敷地に内にあることで、様々な弊害を生んでいることを厳しく受け止めるべきです。
長良小学校の共同調理場における騒音などについては、引き続き、近隣住民の声に真摯に耳を傾け、「従前の良好な居住の環境とする」ために、最善を尽くすよう強く求めておきます。
世界平和統一家庭連合、旧統一教会に関わって、関連団体も含めピースロードなどの後援や、アダプトプログラムへの登録が明らかになるなかで、多くの市民から厳しい声が寄せられています。
この間、霊感商法や多額な献金など、旧統一教会の反社会勢力、カルト集団としての活動の実態が改めて明らかになるなか、岐阜市自身がこれまでの経過について、過ちを真摯に認め、イベントの後援や登録を取り消し、関係を断ち切るということが必要であると、指摘しておきます。
以上が、第92号議案は認定できません。
第100号議案、「令和3年度 岐阜市下水道事業会計 決算認定」です。
このうち「リン回収事業」です。
下水処理施設から排出される脱水汚泥や焼却汚泥を減らして行く事業は理解できます。しかし、リンや、焼却灰をいくら売却しても、リンの回収に係る経費は賄う(まかなう)ことは不可能で、令和3年度決算においても約1億300万円の損失となっています。
リン回収事業を行わないとしても、脱水汚泥や焼却灰の処分については、環境問題からも懸念されることを考えるならば、この事業だけで採算を問題視することではありませんが、年間の費用負担が大きすぎると言わざるを得ません。
環境への負荷をいかに抑え、持続可能な事業としていくためにも、企業会計単独ではそもそも無理があり、一般会計からの支援や国による支援策が必要と考えます。
2件の請願については、文教委員会では、不採択でしたが、採択を求め賛成討論を行います。
まず、請願 第6号、「小中学校の給食無償化を求める請願」です。
憲法26条「義務教育はこれを無償とする」としていますが、無償となっているのは、教科書と授業料に限定されており、子どもたちの健やかな成長を保障するためにも教材費や給食代の義務教育費に係る費用について、完全無償化が求められています。
とりわけ学校給食については、「学校給食法」において、食育として位置づけられており、特に格差と貧困が広がるなか、子どもたちにとって、貴重な栄養補給の場となっています。
給食費については、保護者の負担軽減ということで、ひとり親世帯などの低所得者に対して、生活保護における「教育扶助」や就学援助制度によって、給食費の全額が支給をされています。
岐阜市において、要保護、準要保護で、就学援助を受けている児童・生徒は、令和3年度、小中学校合わせて4,187人、受給率は、13.8%となっていますが、基準を生活保護基準の1,3倍から1,5倍に引き上げたのに関わらず不認定になる子どもが230人にも及んでいることを見るならば、制度として不十分と言わざるを得ません。
今、物価高騰のなか、子育て世代の負担が大きくなるなか、学校給食の無償化は全国で広がっており、県下においてもこれまで14市町において助成を行っており、加えて山県市、本巣市においても、この2学期から無償化を実施しています。
請願では、岐阜市においても、「全ての子どもが給食費の心配なく、平等で良質な給食を食べられるように、早急に全小中学校の給食の無償化を行うこと」を求めています。
請願 第7号、「早急に小中学校の35人以下の少人数学級を求める請願」です。
政府は、40年ぶりに小学校全学年の学級人数の上限を35人以下にする改正義務教育標準法を閣議決定、令和7年度までに実施するとしました。
コロナ禍の下で、子どもたちは、手指消毒、マスクの着用、給食の黙食など感染対策が必要のなか、大変不自由な学校生活を送っています。
とりわけ、教室における授業については、三密状態を回避するということで、机と机の距離を2メートル以上開けるなどが行われ、緊急事態宣言時には、午前、午後の2回に分けて授業が行われる対応も行われてきました。
教職員からは、子どもの数が半分になり、ゆとりのある授業ができたなどとして、少人数学級についての感想が寄せられています。
少人数学級は、子どもひとり一人が健やかに成長する上で、欠かすことのできない条件であるとともに、教職員にとっても、子どもの成長をゆとりのなかで見守ることが可能となるものです。
さらに、その補償となる現場の教職員不足の解消は、待ったなしの課題といえるものです。
請願では、「岐阜市として、全学年で少人数学級を実施すること」、「早急に教員不足対策を実施すること」を求めています。
以上、2つの請願については、市民から出された切実な願いであり、議員のみなさんにおいては、その所をくんで頂き、本会議において採択をされることをお願いして、討論を終わります。